1. はじめに
クリスマス用全粒粉スペルト小麦粉の超上質クッキーをBookcafe OkinawaRailさんで販売してもらっています。
ちんすこうを試作していく過程で様々な食材が手元に残っていきました。
その中から、
全粒粉スペルト小麦粉
GHEE
ココナッツシュガー
アーモンドミゼット
ペパーミントエクストラクト
を組み合わせると、健康的と言われる中でも特上のクッキーができてしまうのでは無いかということに気がついてしまいました。詳しくは後述しています。
高価な食材を惜しみなく使った直径4cm厚さ5mmの8枚組で一袋で60g〜64gになっています。
材料原価が高いので高価格商品となっていますが、卸し価格に対する原材料原価率は75%を超える世にいう赤字商品となっておりますので、このチャンスをお見逃しなく。
クリスマス用なので12月22日の夕方には販売先のBookcafe OkinawaRailさんから回収する予定となっていますので、お早めに。
2. 原材料の説明
当店では、原材料を県内の店舗で現物を見ながら選んだり、他社さんの原材料表示からネットを徘徊したりして、いろいろな食材をちんすこうに落とし込めないか試作しています。
仕入れる前はざっくりとした情報で購入を決めますが、現物が手元に来ると詳細な情報を集めて、どう活用するか考えていきます。その際にざっくり調べた情報とぜんぜん違う情報に出くわすことがよくあります。
試作には、かなりの時間を要する場合もあり、購入した食材の賞味期限が残り2ヶ月ぐらいになった時にどうすべきか非常に悩みます。
今回は、全粒粉スペルト小麦粉という貴重な小麦粉を活用すべく、他の食材を合わせることでクッキーを造ることにしました。
たまにはちんすこう屋さんがクッキー作ってもいいかな。
それでは、それぞれの原材料の説明を書いていきます。
2.1. 全粒粉スペルト小麦粉
北海道上川郡の佐藤農場さんが育てたスペルト小麦粉の全粒粉を使用しています。
スペルト小麦粉は9,000年以上前にヨーロッパで栽培されていたことが証明されており、その後も品種改良(人為的遺伝子操作)が行われていない「オーバークルマーロトコーン品種(ディンケル)」を使用した小麦で、ナッツのような風味とチョコレートのような甘い香りが特徴です。
そのため、ちんすこうで使うことで砂糖の量を少し抑えられるのでは無いかと試作用に購入しました。もちろん、全粒粉を使用していますので食物繊維が血糖値上昇を阻害をする効果が期待できます。
インターネットで「スペルト小麦粉」を検索すると、アレルギーに関する記述が非常に多くみられますが、グルテン過敏症、セリアック病、非セリアック・グルテン過敏症及び小麦アレルギーをお持ちの方は必ず医師に相談をして食べるようにしてください。
他の小麦に比べてアレルギー物質の量が少ないというだけで、アレルギーを非表示できる小麦ではありません。
脱穀が難しいため現在では希少で高価な小麦でもあります。
2.2. GHEE
GHEEは、バターから造る脂で、またの名をバターオイルといいます。
当店では、紅芋味ちんすこうに使う使う紅芋ペーストの隠し味として使っています。
「バターって脂でしょ?」「なんの意味があるの?」という方もおられるかもしれませんが、バターは純粋な脂ではなく水分とタンパク質を多く含んでいます。
この水分とタンパク質がバターの酸化を促進させてしまうので長期保存するにはGHEEのほうが都合が良かったのでしょう。
手間ひまがかかるためか、購入しているGHEEは 1g で 13円 もする超高級品となっています。
アーユルヴェーダでは、神聖なオイルとして何千年もの間使われてきた歴史ある脂でもあります。
動物性油脂は常温で固形であることが問題かのような記述をみかけますが、常温と体温は違うことは覚えておきましょう。また、動物性油脂は過去にコレステロール絡みで敬遠される傾向がありましたが、根拠となった論文が否定され現在では、「とりすぎに注意」程度に意識すればよく、栄養価の高さから見直されつつあります。
アメリカに拠点を置く自然療法協会(NTA,Nutritional Therapy Association)では、ラードとともにGHEEを「Safest for Cooking (料理に使う最も安全な油) 」に選んでいます。
油が人体に害をもたらす要素で一番大きいのが「酸化」です。加熱すると酸化されやすくなり、煙点が低いほど加熱に弱いです。
ちんすこうで使うラードの煙点が230℃に対して、GHEEの煙点は250℃となっていて、ピザ窯でもある程度耐えるほどの能力を持ち合わせています。もちろん焼き菓子には最適な油と言えるでしょう。
オリーブオイルはあまり加熱せずに使いましょうというのも、煙点と酸化の問題があるからです。
油には、主に飽和脂肪酸、オメガ9脂肪酸、オメガ6脂肪酸と、オメガ3脂肪酸の4種の酸がありますが、バランスよく摂取するようにしてください。
難しいのが、1種類の油で、この4つの酸を同時に取れないという点ですね。
2.3. ココナッツシュガー
ココナッツシュガーはココナッツの花から造る砂糖です。雑味のある柔らかい甘さが特徴です。
ちんすこうに使う糖のバリエーションを増やす試作で使いました。
Googleの検索結果では低GI(グリセミックインデックス,Glycemic Index)食品の糖として検索によく表示されます。
フィリピン食品研究所が発表したGI値35という数値が広く広まっていますが、GIという指標を作ったシドニー大学はGI値54としていますので、54が正確な数値となります。(GI値には多少の個人差があります)
GI値55以下が、低GIとなっていますので、54であればギリギリ低GI食品というところです。他のお菓子同様に食べ過ぎには気をつけましょう。
日本ではGIの概念を翻訳した本が間違ったことを書いて広まったため、白砂糖=悪、黒砂糖=善、ココナッツシュガー=神と扱われて「茶色い砂糖は健康に良い」という間違った知識が広まっていますが、白砂糖と黒砂糖には大きな差はなく、ココナッツシュガーはややGI値が低いというところが真相です。
「何を言ってるの、茶色い砂糖には栄養素がたくさん入ってるのよ!」と突っ込みたくなったあなた!、一度、人間が必要とする一日の栄養素の量と、茶色い砂糖に含まれる栄養素の量を比べてみてください。
栄養素目的で必要な量の茶色い砂糖を食べると、ものすごく近い将来に糖尿病を発症しちゃいますよ。
なお、かつてNHKが総力を上げて「茶色い砂糖は健康に良い」という証拠を探し求めたそうですが、何ひとつ見つからなかったと、有働アナから伝えられました。
このあたりの話は、時間ができたら別記事で詳しく書きたいと思ってます。
2.4. アーモンドミゼット
スペルト小麦、ココナッツシュガーには糖質が含まれているので、比率を引き下げるために、アーモンドミゼットを混ぜています。
糖質は必要な栄養素ですが、とりすぎには十分注意をしなければいけません。当店のちんすこうは他店よりも甘みを抑えているため糖質はやや少なめですが、この商品ではアーモンドミゼットで更に減らすことといたしました。
また、GHEEの飽和脂肪酸に対して、アーモンドにはオメガ9脂肪酸が含まれていますので、4種の酸のうち、2種類の酸を摂取できるようになります。
2.5. ペパーミントエクストラクト
ペパーミントエクストラクトは化学香料の添加や薬品を使ってのアルコール抽出を行わず、ペパーミントから作られた香料です。
チョコミントちんすこうの試作に購入したものを使っています。
日本ではハッカの爽やかさが人気ですが、私のお腹はムカムカする傾向があるので、柔らかい爽やかさのペパーミントを使うようにしています。