1. はじめに
次亜塩素酸水、噴霧してますか?噴霧するのやめましたか?
混迷を深める次亜塩素酸水の情報の錯綜。次亜塩素酸水を使い始めて4年、沖縄では調達すら難しかった時代から使ってる私からみたら、政府機関までもが振り回されている感じがします。
当工房の製造にも影響があるかもしれないのでファクトチェックがてら、書き残しておこうかなと思います。
長くなるので先に結論を書いておくと
5月29日に各報道機関が情報源とした NITE(製品評価技術基盤機構)は、6月4日に次亜塩素酸水は検証中であり「新型コロナに効かない」と言ってないと釈明済み。
次亜塩素酸水が「新型コロナに効くか?効かないか?体調不良になるか?ならないか?」と、聞かれた時に安易な返事はしないこと。
結論が出るのは6月末から7月。
の3点です。
詳しくは続きを読んでください。
2. きっかけはNITEの令和2年5月29日付の中間報告
各報道機関が情報源として利用した NITE(製品評価技術基盤機構)の令和2年5月29日付の中間報告ですが、随分と誤解をされて誤解をされて報道されました。
「 新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第2弾)~物品への消毒方法の選択肢がさらに広がります~ 」
界面活性剤の話の中に、次亜塩素酸水の話をぶち込んできたため陰謀論も出ていましたが、私は、NITEの担当者に整理能力がなかっただけのように思います。
この後の文章に頻繁に出てくると思いますが、NITEの見解は「効く場合と効かない場合があるから整理に時間がかかってます」です。これを前提に読んでいってください。
3. NITEはすでに「次亜塩素酸水が新型コロナに効かない」なんて言っていないと釈明済み
釈明の記事はこちらから。(4月30日の記事に付け足してリリースはずるいと思う)
「 NITEが行う新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について~よくあるお問い合わせ(令和2年6月4日版)~ 」
「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。
現在、効果の検証作業を、関係機関の協力を得て進めているところです。塩素濃度や酸性度(pH)等の条件によって効果が変化しうるため、評価にあたっては、様々な条件での検証を行う必要があります。
4. 次亜塩素酸水の空間噴霧は安全なの?
先の報告書の中で 噴霧に関する衛生当局の見解という項目があり、この中で 「WHOの見解」「米国疾病予防管理センター(CDC)の見解」「中国国家衛生健康委員会の見解」が示されています。
この見解は、全てにおいて、「消毒剤」という言葉が使われていて「次亜塩素酸水」という言葉は見当たりません。
実はここが大きな落とし穴で、「次亜塩素酸水」は「消毒剤」ではないので、消毒、殺菌には使えません。次亜塩素酸水ができるのは除菌、除疫で薬機法(旧 薬事法)の適用外となっています。
つまり、ここでの見解というのは、「アルコール消毒剤」や「次亜塩素酸ナトリウム」の話であり、「次亜塩素酸水」についての話ではありません。
ちなみに、当工房では「次亜塩素酸水」の除菌と区別するため、「石鹸」や「食器用洗剤」を使う場合は洗菌といっています。
言葉の違いが、難しいところですね。除菌と殺菌の違いは ウェザーニュースあたりの記事 がわかりやすいですね。
こちらも、報道の勘違い(?これは完全なミスリード)が多かった為NITEは釈明済みです。
今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、空間噴霧は評価対象となっておりません。
「次亜塩素酸水」の噴霧での利用は安全面から控えるよう弊機構が公表したとする報道が一部にありますが、噴霧利用の是非について何らかの見解を示した事実はございません。
「次亜塩素酸水」を消毒目的で有人空間に噴霧することは、その有効性、安全性ともに、メーカー等が工夫して評価を行っていますが、確立された評価方法は定まっていないと承知しています。メーカーが提供する情報、経済産業省サイトの「ファクトシート」などをよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。
だったら、なんで「WHO」「CDC」「中国国家衛生健康委員会」の見解を載せたんだよ、という話ですが…
5. でも、体調不良が起きたという例も書かれてるでしょ
そうなんですけど、これもまた問題ありでした。
(3)人体への実際の影響
職場ではコロナ関連で、次亜塩素酸を噴霧している。目が痛く、腫れてきたのに、商品には健
康被害の注意書きがない。(2020 年 03 月 16 日)
http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/search/detail.do?id=0000372704
この件に関しいては、株式会社プランビーさんが、消費者庁に電話した内容をYoutubeで公開されています。
NITEの中間報告について、資料を見ながら話します。後半はコメント返し 22:44
ここで書かれている次亜塩素酸は「次亜塩素酸ナトリウム」の事でした。どひゃー。
もう知っている方も多いと思いますが、「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」は全く違うのものです。
私も1月下旬ぐらいからヤフコメで、「次亜塩素酸ナトリウム」とスプレーに入れてアルコールの代わりに使うというような話に、「次亜塩素酸ナトリウム」は噴霧禁止だよ、「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」は違うからとたくさんコメントしましたが、私の小さな声は消費者庁には届かなかったようです。
そりゃー、「次亜塩素酸ナトリウム」を噴霧したら害が出るって、というお話でした。
これに関しては、ファクトチェックをすべきNITEがファクトチェックをせずに情報を垂れ流したことが大きな問題であるとともに、本来、「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」が違うものだとアナウンスすべき消費者庁が、理解できていなかったことも炙り出される結果となりました。
6. 結論として
結局、次亜塩素酸水は薬事法対象外なので国際機関はじめ、国も検証をしてこなかった膿が吹き出している状態で、現時点では個人の判断に丸投げです。
業界としても、次亜塩素酸水の定義づくりをしてこなかったことで基準が作れてなかったこともあり、非常に混沌としています。
企業が独自のラボできちんとデータを持っている場合が多く、それは企業秘密でもあるので、データの全ては公開されないでしょう。
とにかく、「新型コロナに効くか?効かないか?体調不良になるか?ならないか?」と、聞かれた時に安易な返事はしないこと。
例えば「体調不良になるから噴霧はやめろ、と言った後に実は体調不良にならないです」ということさえ起こり得る状況です。
文科省が文科省の予算で買ったものの使用を停止するのは文科省が全責任を追っているので問題ないでしょうが、資本関係のない民間企業同士の場合は言っちゃった人の責任がつきまといます。
あんたが、体に良くないって言ったから捨てたんだよ、弁償しろよ、なーんてトラブルに巻き込まれないようにしましょうね。
わからないことにはわからないと答えれる勇気を持つことが大切。
あと、商品の説明書やメーカーのファクトチェックシートの確認をしてね。
NITEも言ってますよ。
「次亜塩素酸水」の利用に当たっては、メーカー等の提供する情報等をよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。
特にメーカー選びが大切です。当工房は4年前から使ってる次亜塩素酸水を使い続けていきます。2020年1月以降に以降に新発売された次亜塩素酸水や野良次亜塩素酸水には手を出さないように心がけています。やはり、データ取りを続けてきた商品を使いたいですよね。
次亜塩素酸水の事をきちんと語れるのは、古参メーカー関係者だけかと思ってます。NITEはじめ、最近研究に手を付けた大学、医療関係者、自称専門家などの意見に聞き耳を立てると、今回のような闇に引きずりこまれてしまいますから。
今回のNITEの中間報告はそれをあぶり出せてよかったと思います。NITE自体も相当しっかりした最終報告を出すしかない状況となりましたが、どうなることやら。